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消費税申告書の作成
■消費税の申告書を作成する前に
消費税の納税は多額になりやすく、皆さんとても関心の高い税目のひとつです。新規設立法人の場合、納税の開始時期は、資本金と売上高等によって変化します。
資本金1,000万円未満の会社(よくある事例 事業年度は1年間)
第1期:消費税の申告・納税は不要です。
第2期:第1期の上半期の課税売上高が1,000万円を超え、かつ同期間の給与総額も1千万円を超える場合には、消費税の申告・納税が必要になります。
第3期以降:下記2項目のいずれかが当てはまる場合には、消費税の申告・納税が必要です。
①第1期の課税売上高が1,000万円を超える
②第2期の上半期の課税売上高が1,000万円を超え、かつ同期間の給与総額も1,000万円を超える
※課税事業者の選択、特定新規設立法人、調整対象固定資産、高額特定資産等の納税義務の免除の特例は考慮していません。
資本金1,000万円以上の会社(よくある事例 事業年度は1年間)
第1期:消費税の申告・納税が必要です。
第2期:消費税の申告・納税が必要です。
第3期以降:下記2項目のいずれかが当てはまる場合には、消費税の申告・納税が必要です。
①第1期の課税売上高が1,000万円を超える
②第2期の上半期の課税売上高が1,000万円を超え、かつ同期間の給与総額も1,000万円を超える
※課税事業者の選択、特定新規設立法人、調整対象固定資産、高額特定資産等の納税義務の免除の特例は考慮していません。
■消費税申告書作成のポイント
消費税の納税額は極めてシンプルな計算式で算出されます。
原則課税方式 消費税納税額 = 売上にかかる預かった消費税 - 仕入れ(購入資産や経費)にかかる支払った消費税
上記の計算式で消費税納税額がマイナスになる場合には、納税額の還付を受けることができます。
ただし、シンプルな計算体系とは裏腹に、課税区分の判定や選択的な納税など、複雑な制度の理解や適正な管理が求められる税金になっています。
消費税申告の課税区分
取引の仕分けを記入する際には、消費税の区分に則った記載が必要です。
消費税には、不課税取引、非課税取引、課税取引、免税取引といった課税区分があります。
①不課税取引
国外での取引など、消費税の対象外となる取引です。
②非課税取引
給与のように税法上、消費税を非課税としている取引を指します。
③課税取引
消費税が対象とする取引のうち、非課税取引以外の取引です。
④免税取引
免税となる輸出取引などがこれにあたります。
簡易課税の選択
消費税の簡易課税とは、一定条件のもと、「仕入れにかかる支払った消費税」を業種ごとの「みなし仕入れ率」で計算できる制度です。実際の控除仕入税額を計算しなくてもよいため、税額の計算がとても楽になります。
この制度を利用できる条件は、消費税課税の基準期間等(2期前の1年間又は1期前の上半期)の課税売上高が5,000万円以下であることです。
ただ、簡易課税を利用することでかえって納税額が多くなる場合もありますので、よく検討した上で利用しましょう。いったん制度を適用すると、2年間の継続が必要になります。
免税者による選択的課税のメリット
消費税は基本的に、先述した課税の要件を満たさない限り、納税の義務がありません。ただ、この免税期間中に多額の資産(高額の建造物など)を購入し、還付の申告をしたいのであれば、「課税選択届出書」を提出して納税義務者となり、還付申告を行うことも可能です。
このときに気をつければならないのが下記の2点です。
①課税選択届出書の提出時期
課税事業者選択の届け出は、適用を受けようとする事業年度初日の前日までに出さなければならなりません。消費税申告時に届け出ても間に合いませんので、注意が必要です(この場合、「課税期間の短縮特例届出書」を提出して、還付申告に間に合うかを検討しましょう)。
②最低2年の課税継続
ひとたび課税事業者になると、最低2年間は継続する必要があるということです。つまり、課税事業者になるかを選択する場合、その有利不利は必ず複数年で考えなければなりません。初年が還付となっても、次年以降で還付を上回る納税になれば、メリットがなくなってしまいます。
2年以上の継続後、免税事業者へ戻りたい場合には、「課税選択不適用届出書」を期日までに提出する必要があります。
■はじめての消費税申告
「はじめて消費税の課税事業者になり、どうしていいか分からない」という方のために、申告へのステップをご案内します。
STEP01:課税事業者届出書を提出する
課税事業者になったら、まずは「課税事業者届出書」を税務署へ提出します。
STEP02:課税方式を選択する
消費税の納税額の計算方法には、先述の「原則課税方式」と「簡易課税方式」の2種類があります。簡易課税方式を選択する際には期日までの届け出が必要です。
どちらの方式が有利になるかは、専門家に相談するのがよいでしょう。
STEP03:表示価格を総額表示にする
飲食業や小売業の課税事業者には、総額表示が義務付けられています。メニュー表、値札、カタログなどの表示価格を速やかに、漏れなく変更しましょう。
STEP04:納税に向けた経理処理をする
消費税の納税額を計算するためには、「消費税がかかる取引」と「消費税がかからない取引」に区分した経理処理を行う必要があります。
また、「税込経理」を採用して消費税を含めた利益を把握するのか、「税抜経理」を採用して消費税を含まない利益を把握するのかも決めておかねばなりません。帳簿の記帳方法や会計ソフトの設定にも関わることで、途中から変更するのは難しいため、事前にきちんと決めておきましょう。
STEP05:納税のための資金手当を確保する
消費税は、法人税と違って、ほとんどの場合は赤字でも納税しなければなりません。納税額を予測して、納税用の資金をあらかじめ定期積立などで用意しておきましょう。