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税務調査とは
税務調査とは、納税者が提出した決算書と申告書の内容が正確なものであるかを確認する調査のことです。申告書、決算書や総勘定元帳などの内容から、申告した税金の額が正しいかチェックされ、誤りがあれば修正申告や追加の納税をすることになります。ここでは、税務調査の種類や流れ、必要な準備についてご紹介します。
観音寺市・三豊市を中心に活動している税理士事務所です。お客様の成長と拡大と安定に貢献するため、税金に関する知識はもちろんのこと、ややこしい経営数値を四国一分かりやすく説明致します。経営者の頑張りが加速する様に毎月の打ち合わせを大事にしたいです。
税務調査はどの会社の何期目に入られるのか、事前に把握することはできません。
税務調査のタイミングが明確に決まっているわけではないからです。
一般的には、設立3期目の申告が終わったら、そろそろ税務調査が行われる可能性があると考えたほうが良いでしょう。消費税の還付申告の場合は、還付の内容を確認するために実態調査が行われる可能性が高いので、調査は早く来る場合があります。
ただし、税務調査が実施される可能性のある時期についてはある程度予見することができます。
税務調査は秋ごろに最盛期を迎えることになります。
税務署の場合は事務年度と言い、7月~6月を一つの期間としています。そのため、一般職の税務職員の定期人事異動は7月10日になっています。
また、年末年始を挟んで、上半期(7月~12月)と下期(1月~6月)に実施する税務調査は、おおむね決算月によって分けられており、
上半期の税務調査は、2~5月決算法人
下半期の税務調査は、6~1月決算法人
となっています。
上半期の税務調査の場合は、3月決算法人の申告書が提出された6月頃から申告内容の検討が行われ、7月から調査が開始されるケースもありますが、最盛期は9~11月頃になります。
日本の場合は3月決算法人が特に多いので、最盛期の9~12月頃に調査が入る法人に該当するのは、その多くが3月決算になっております。
また、下期の税務調査の場合は、1月に開始しますが、3月は個人の確定申告の時期と重なるので、個人の確定申告終了後の3月下旬~4月上旬に再開され、6月が事務年度末なので、おおむね5月中旬には新規調査は終了しています。そのため、下半期は、調査期間も短くなり、調査件数全体も少なくなる傾向にあります。
経営者の方は、会社の決算月に対してあまり意識されておらず、法人を設立した際に設立の前月を決算日に決めることが多いようですが、実は決算月は設立日にかかわらず決定することができます。
決算日の変更は難しいことではないので、税務調査が来るだろうとされる時期が会社にとって繁忙期である場合は、業務に支障をきたすことから、決算月の変更を検討するのも一つでしょう。
税務調査の実施時期はいつ頃が多い?
税務調査の種類
(1)任意調査
税務署や国税局の調査部、資料調査課が通常行う調査です。
税務調査の8割ほどが任意調査だといわれています。
任意調査の中にも「準備調査」と「実地調査」の2段階があります。
(2)準備調査
実地調査に入る準備をするための調査です。
納税者が提出した申告書などを、独自に収集した情報と照らし合わせて分析する「机上調査」が行われます。また、必要であれば調査対象の立地条件等を把握するために「外観調査」を行うこともあります。
これにより、調査対象となる企業の問題点や重点的に調査すべき項目が判断され、実地調査が決定されます。
(3)実地調査
実地調査は、大きく分けて「一般調査」「現況調査」「特別調査」「反面調査」の4つがあります。
①一般調査
最も多く行われている調査で、帳簿を中心に申告内容の適正さが調査されます。提出された申告書の内容が税法の規定通りに処理されているかどうかを最終的にチェックするためのものです。帳簿調査が中心ですが、調査官が必要と判断すれば、倉庫や工場などの現場確認調査も行われます。 事前に、税務署から経営者ないし顧問税理士へ調査の旨の連絡が入り、顧問税理士が調査の日時等を調整していきます。
②現況調査
任意調査のうち、事前の連絡なしに抜き打ちで行われる調査を「現況調査」といいます。飲食店や現金商売をする企業が主な対象です。現況調査が入った場合、焦らずに、まずは顧問税理士へ連絡して、立ち会いをしてもらいましょう。強制調査ではないため、税理士が来るまで調査を待ってもらうことができます。
③特別調査
準備調査の結果、一般調査だけでは不十分と判断された場合に行われます。 特に、多額の不正所得(売上を抜いていたり、架空の経費を計上している等)が見込まれる場合や、事業規模が大きいグループ企業などの場合に行われます。一般調査よりも長期間にわたり、細部まで調べられます。今まで税理士が付いておらず、調査から関わる場合はこの調査が多いです。。。
④反面調査
ある企業へ税務調査が入る際に、その企業と関係を持つと見られる取引先などへも税務調査が入ることがあります。これを反面調査といいます。収入が少ないから無申告でも大丈夫と思っている方が慌てるのが、この調査です。
⑤強制調査
申告内容について多額かつ悪質な不正が発覚した場合、捜査令状をもって強制的に行われる調査です。
悪質な脱税に対する一種の犯罪捜査であり、裁判にかけるための臨検や捜索、差し押さえを目的としているため、任意調査とは一線を画します。調査は国税局の査察部によって行われ、追徴課税の支払いが必要なのはもちろん、メディアで報道されることもしばしばあります。
税務調査に必要な準備
✅ 税務調査の事前検討事項
税務調査では、必ず領収書など証拠資料の提出を求められます。調査当日に慌てないためにも、事前に資料漏れがないかなどをチェックしておきましょう。弊所の場合には事前打ち合わせを行い、必要書類の準備を一緒にさせて頂きます。
✅ 取引の証拠資料のチェック
売上の証拠資料:
飲食店などの「現金商売」では、レジペーパーや売上伝票、売上領収書の控え、カード売上におけるカード会社別の明細書など。その他の業種では、請求書や見積書、受注書の控え、契約書、覚書、銀行通帳などです。
仕入、経費の証拠資料 :
支払い領収書や請求書、納品書、発注書、契約書、覚書、銀行通帳などが該当します。
貸借面の証拠資料:
資産の購入や賃貸借がある場合、借入などがある場合は、それらの契約書や覚書など。仕入がある業種で期末の仕入の在庫がある場合は、その在庫表が重要です。
その他の証拠書類:
入金があるのに売上でない前受金や、支払いがないのに経費になっている未払費用などについては、 その内容が分かる資料を揃えておきましょう。また、源泉所得税や法人税などの納付書控えや社会保険料などの通知書も、漏れ無く用意しましょう。
✅ 会社の基本書類のチェック会社の定款
・株主総会や取締役会の議事録
・旅費や退職金規定の書類
・登記を変更した場合の履歴事項全部証明書
・従業員の雇用関係書類
などを確認する必要があります。
特に、役員給与の改定などに関する議事録は、税務調査で必ずチェックされます。ある程度規模の大きい会社であれば、組織図やグループ会社関係図なども用意しておいたほうがよいでしょう。
税務調査の流れ
税務調査のほとんどは一般調査です。一般調査の場合、いきなり税務署員が押しかけてくることはまずありません。調査は下記のような流れで進行します。
episode1:税務署からの事前連絡
一般調査の対象になると、事前に税務署から会社に連絡が入ります。
顧問税理士がいる場合には、税理士に連絡が入ります。
episode2:調査日の日程調整
調査の日程は、会社側の都合に合わせることが可能です。
繁忙期などには、2~3週間先になることも多々あります。
顧問税理士と日程を調整の上、調査日を決定しましょう。
episode3:税理士との資料内容確認
調査では、領収書などの証拠資料を必ず求められます。
当日に慌てないためにも、資料は事前にきちんと用意しておきましょう。
また、税理士との間で、当日の流れについてある程度予測を立てて確認すべき点を抑えておけば、調査日に余裕を持って臨むことができます。
episode4:調査当日
事前に準備をしておけば、あとはリラックスして臨むだけです。
調査官の質問には自然体で回答しましょう。
一般調査であれば、会社内の実地調査は通常2日ほどで終わります。
episode5:税務署による分析と、顧問税理士への連絡
調査後、税務署員は実地調査で収集した資料の分析を行います。
調査内容に問題がなければ、申告是認となり終了です。
実際の税務調査ではこのケースも少なくありません。
指摘事項などがある場合には、顧問税理士へ連絡が入ります。
顧問税理士はその指摘事項を分析し、税務署側の主張が正しいのか、または反論できるのか検討し、税務署側と折衝を繰り返します。
episode6:修正申告書の作成
申告内容に誤りがあった場合には、税務署と顧問税理士が折衝して調整を行います。
顧問税理士の経験や折衝力が大きく影響する場面です。
調整後の額について納税者の合意が得られたら、修正申告書を作成します。
なお、税務調査にて修正申告が発生した場合には、翌年の法人税申告の際、前年度の修正申告書を加味して作成する必要が生じるため、計算が特に複雑になります。
調査額にどうしても納得がいかない場合は、修正申告を行わずに税務署の「更正」通知を待つ形となります。更正の内容にも納得がいかず、応じない場合は、国税不服審判所の審査等を経たのちに裁判で争うことになります。
修正申告後、不足分の税額や延滞税、過少申告加算税、場合により重加算税といった追徴課税を納めることになります。追徴課税の納付は一括が原則ですが、無理な場合は税務署と協議の上、分割納付を図ることができます。
episode7:余談
税務調査を恐れる必要はありませんが、初めて調査を受ける方はとても緊張されるようです。
まずはできるだけリラックスして、感情的にならないことが大切です。
顧問税理士がついている場合、税務署側の行き過ぎた調査展開に対する指摘や、法的な解釈のせめぎあいは税理士が担当してくれます。
税務調査は、取引の処理が税法に照らして正しいかどうか、「解釈」のせめぎあいです。
調査結果が解釈の仕方いかんで決まるところがあるため、嘘をつくことはありえません。軽い一言が後々のトラブルのもととなるケースも少なくないからです。ご自身が一生懸命にやってきた事が調査官に思った通り伝わらない事は悲しいことですので、税理士と事前の打ち合わせをして考えを整理して欲しいと思っています。
例えば、AからBへの支払いがあった場合に、これを取引の対価すなわち「経費」の支払いと見るか、支払う対価のない「寄付」と見るか。事実の解釈次第で経費が認められたり否認されたりします。こうしたケースでは、証拠資料はもちろん、経営者の一言も重要な判断材料となる場合が往々にしてあるのです。
税務調査後の影響
税務調査では通常3年分、最大で7年分まで過去にさかのぼって調査を行います。
申告の誤りが数年分にわたる場合は、その分だけ修正税額も大きくなってきます。
また、税務署の調査は法人税や消費税といった国税に関するものですが、それに伴って地方税の修正も行わなくてはなりません。多くの税目について延滞税や過少申告加算税、場合により重加算税が発生しますので、全体の追徴金額は大きくなりがちです。
その追徴課税を一括で納められない場合は、税務署と分割納付の交渉をすることができます。
しかし、税金の未納がある間は、金融機関へ新たな借り入れを申し出ても断られるケースが少なくありません。そのため、未納分を自力で納めていかなければならず、滞納になることも少なくありません。
いったん滞納が始まると、完納までの道のりはとても長いです。滞納があり融資を受けられないと、事業展開は大きく狂ってしまいます。税金は後が大変です。日頃の決算・申告を大事にしてくださいね。
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